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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

初めてのPR会社選びで気を付けたい5つのポイント

更新日:2023年3月22日

プロモーションが複雑化する中で、これまでも、そしてこれからもプロモーションから切ってもきれない「PR」。広報部を社内におく企業が当たり前になっている中であっても、さらに外注してまでPRを強めたい意向は理解できる。しかし、問題はどういったPR会社にお願いすれば良いかがわかりかねる点だ。著者は17年の総合広告代理店時代に、10社以上ものPR会社と付き合ってきた。その経験をもとに、本稿では、初めてPR会社を選ぶときにポイントとなる5つの点について説明していく。


目次:初めてのPR会社選びで気を付けたい5つのポイント


PR会社とはどういう存在か

ファッションブランドであれば社内にPR担当が存在し、その他企業であればIRなどを中心とした広報部またはコーポレートコミュニケーション部が存在するだろう。しかし、人手が足りないことも多く、プロモーションに近いPR業務まで手が回らないことが多い。その際、PR会社への外注を検討し始める。PR会社と広告代理店との違いは別稿にて説明しているが、PR会社とは端的に言うと、メディアとのつながりを持ちながら、ニュースを世の中に発信していく存在である。そのニュースは時に、「2021年で最も売れたもの」という単なる事実や、「●%の人が始めている」といった調査に基づく情報、さらに「専門家が言っている」といったKPI発信情報など様々である。手法は限られるが、こういったニュースをメディア介して世の中に伝えていく業態である。


数多存在するPR会社

日本には数多くのPR会社が存在する。TV番組制作会社のPR部門であるケースや、独立系のPR会社、大手広告代理店の子会社であるPR会社、一部メディアに強みを持つPR会社など様々である。独立系PR会社、特に大手となると、企画機能も有していることが多く、広告代理店との違いも不明瞭になっている。企業の広報部門の外出しであることに変わりはないのだが、数多あるPR会社において、どういった点を重視して、どういった種別の、どういったPR会社にすべきかについて、次項以降で説明していく。


PR会社選び1つ目のポイント、得意分野

上記にあるように、PR会社は数多存在する。大手となると「得意分野」の見定めが難しいかもしれないが、必ず得意領域があるため、それを見定めることをおススメする。基本的には「なんでもできる」と言いがちなPR会社であるが、必ず社長の出身が出版社なのかTV局なのかTV制作会社なのか広告代理店出身なのか専門紙、例えば金融系新聞出身なのかで、色分けがなされる。そのPR会社の社長の出身を調べれば自ずと強みは見えてくるのである。こうして、得意分野を見極めることで、自身が行いたいPR業務をどの会社に依頼すべきかが見えてくるのである。



PR会社選び2つ目のポイント、担当者

次に、大事なポイントは担当者である。担当者がどういう経歴を持っているか、を知ることが実は難しい。なぜなら、提案の際などにパワーポイントでまとめた経歴書を見ても、実際にどういう関わり方でその業務を行ってきたのかが不明であるためだ。特に、業務経歴に「過去広告/PR施策」を記載しているPR会社の担当者には注意が必要だ。なぜなら、大手広告代理店と協業しただけであって、広告対象物の全体のプロモーション施策を立案したわけではないからだ。しかし、有名な広告/PRキャンペーンが経歴に貼られていると、ハロー効果によって信頼してしまう節がある。正直、有名広告/PRキャンペーンを経歴に入れている場合は、逆に疑った方が良いとすら著者は感じている。次に、特に大手PR会社にありがちなのが担当者がコロコロ変わってしまうことだ。人の出入りが激しいためであるのと、社内人事異動を頻繁に繰り返すことで持続的成長を期するため、大手PR会社にとっては当たり前の話だが、広告主にとっては迷惑極まりないのである。これらを踏まえて、担当者を見る際の一番シンプルな「信用に足る根拠」はきちんと成長を実現し続けているブランドを「少なくとも数年間は担当し続けているか」である。成長に必要な機能であれば広告主は担当者を簡単には手放さないものだからだ。経歴だけではなく、「ずっと担当するのか」を2つ目のポイントにしなければならない。


PR会社選び3つ目のポイント、スピード感

こちらはPR会社選びというよりは、当たり前のことではあるのだが、選定する時点での会話のやり取りスピードが速いかどうかに注意を払っていただくと良いだろう。なぜなら、PR業務はメディアの情報をいかに取得し、いかに先回りして速く対応するかどうかで、成否が決まることが多い。業務実行前の段階で、すでにスピード感がないと思える会社であれば、確実にメディアやクライアントのスピードについて来られず、PRフィーも無駄になると考えて間違いない。「対応が遅いが専門性は高い」、「対応が遅いが経験値はある」はまず意味をなさない。業務をした後で、結局すべて「対応の遅さ」でチャンスが無駄になるケースを、著者は何度も経験してきた。



PR会社選び4つ目のポイント、クリエイティブ制作力

特に「企画力」に強みを持つと自認しているPR会社は社内でクリエイティブ部門も内包していることがある。広告代理店のクリエイティブ部門とは所属会社は異なるのだが、実際は同じ広告用の動画やグラフィック開発を担うことができる。しかも、広告代理店と遜色ないクオリティでありつつ、広告代理店よりも安価であることが重要なポイントだ。PR会社を選ぶ際、最重要ではないが、一気通貫で依頼しやすくなる理由として、クリエイティブ部門があるかどうかを確認することも、PR会社選びにおいては重要なポイントであろう。


PR会社選び5つ目のポイント、広告代理店と資本がないか

PR会社もメディアバイイングを請け負う時代に、彼らはマス広告の口座を持ち合わせていないがために、広告代理店を通さなくてはならない。また、広告代理店としても採算が高くはないPR部門を内包するよりも子会社的に扱いつつ、連結対象に入れる方が経営効率が良いため本社機能としては有しないことの方が得策である。PR領域も含めてのプロモーション戦略が増えているがために、当然のことと言えば当然だ。しかしながら、PR会社を選定する際にはそれが「足枷」にもなってしまう。広告領域となれば、自由に広告代理店を選べずに、紹介という体裁で指定の広告代理店となってしまうからだ。この点は「PR会社のみ」を選定する際には、独立系か広告代理店系かを一考することをおススメする。


どのような業種業態であったとしても、「誇張でないか」「逃げないか」「スピードが速いか」の3つは協業を基本とするB2Bにおいて原則的なことであろう。残りの「クリエイティブ」「独立系」は更に詳細なポイントではある。今は「広告トータルプランニング会社」を設立してはいるが、広告代理店勤務時代の著者は分野を分けてPR会社を同時に走らせることが多かったが、その際も上記を選定ポイントにしていた。重要性が高まるPR業務において、通底する5つのポイントをもって、惑わされずにしっかりと確認作業を行い、そのレスの速さなどを踏まえながら、PR会社を選ぶことをおススメしたい。


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