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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

【5分で理解】広告代理店とブランドコンサルとの違い

更新日:2023年10月24日

企業にとって、「広告代理店」と「コンサルティングファーム」との違いはかねてより不明確な部分はありました。総合広告代理店に17年勤めた著者も、「経営/戦略コンサルティングファーム」や「ブランドコンサルティングファーム」と競合してコンペを行うこともありましたが、双方の違いや軸足の違いなどについて、クライアント側に明確には認識されていないように思えることが多かったです。そこで、本稿では、特に「広告代理店」と「ブランドコンサルティングファーム」との違いについて5分で説明していきたいと思います。


本稿はこのような方におススメです


✔ ブランドコンサルと広告代理店の違いがよくわからない

✔ どちらを呼んでコンペを行えば良いかわからない

✔ 同じような提案をしてくるが本来の違いがわからない

✔ 広告代理店にブランディングを依頼して良いかわからない

✔ 広告代理店とブランドコンサルのどちらがコスパが良いかわからない



目次:広告代理店とブランドコンサルティングファームとの違い


「ブランドコンサルティングファーム」とは

ブランドコンサルティングファームで言うと、「ランドー」や「グラムコ」などが有名です。総合広告代理店系列にも「電通コンサルティング」や「博報堂コンサルティング」などがありますが、経営戦略や事業コンサルから請け負う性質上、ここではブランドコンサルティングファームには位置づけないこととします。ブランドコンサルティングファームには「デザインを請け負うタイプ」と、インサイトフォース社のように「デザイン外注を基本とするタイプ」があります。今回は、ブランドコンサルティングファームの主流である「デザインを請け負うタイプ」について説明していきます。


・グラムコ 日系ブランドコンサルでは最多実績を誇る

・インターブランド ブランド価値評価調査も行っている世界最大のブランドコンサル

・ランドー 世界最大の広告グループWPPに属する世界最大級のブランドコンサル

・バニスター ランドー出身の日本人が設立したブランドコンサル

・インサイトフォース 2010年設立のブランドコンサル


ブランドコンサルティングファームの成り立ち

日本にはブランド領域を請け負う会社が数多あります。ブランドコンサルティングファームだけではなく、「ブランディング」と名乗る企業で言えば、数千にも上る可能性もあります。その中の多くは、もともとは「デザイン/制作会社」です。デザインだけを請け負うはずが、なぜか「ブランディング=イメージ戦略」と解釈して、マーケティング理論をベースとはせず、デザインシンキングから「ブランディング」提案を行うことが多いです。企業ブランド/商品ブランド/サービスブランドの、ロゴ開発やパッケージ開発、コンセプトムービーを請け負うことが多いのは、元の出自が「デザイン/制作会社」のためです。



ブランドコンサルティングファームの対応領域

ブランドコンサルティングファームが増えていくと、そのカテゴリー市場内における「違い」が不明瞭となり、各社が個性を出し始めます。直近のケースで言うと、中小企業向けの、主にB2B企業を対象にした某新興系ブランドコンサルティングファームは、SEOやLPから始まった「ブランディング」に、Web動画制作やその広告プランもセットでクライアントに提供しているようです。これが、デジタル専業広告代理店とどう違うのか、著者には全くわかりません。上記にあるように、「デザイン/制作会社」の域を出ないブランドコンサルティングファームが多い中、増えているデジタル案件を中心としたブランドコンサルティングファームも、マーケティング理論に対する知見の無さ、本来のブランド戦略に対する知見の無さ、という意味ではさして違いはないように思えます。


「一緒に作る」が、デザイン/制作会社との違いなのか

ブランドコンサルティングファームとデザイン/制作会社との違いは、ワークショップなどを経て「一緒に作る」というプロセスを踏むか否かだけの違いでしかないと著者は考えています。確かに「一緒に作るか否か」という点では、明確にそれは違うとは思います。しかし、前述しているように、マーケティング戦略やブランド戦略を「理解せず」、ロゴやパッケージといった「デザイン」というアウトプットにのみ携わるというフィールドからは出られていないように思えて仕方ありません。


広告代理店は「媒体」に軸足を置いている

言わずもがな、広告代理店は「媒体」に軸足を置いて、ビジネスを展開しています。そして広告表現においても、主にクライアントのアウターである生活者をターゲットにしています。一方ブランドコンサルティングファームは、インナー、つまりはクライアント社内にも目を向け、アウターにも伝わるデザイン開発を行います。この視点の違いがまずはあります。さらに、「媒体」に軸足を置く広告代理店と、上述のようにデザインに軸足を置くブランドコンサルティングファームの違いがあります。実質的な違いで言うと、後者の方が大きな視座の違いになると、著者は考えています。


有利なのは広告代理店

ブランドコンサルティングファームの業務領域はインナーとアウターにまたがりますが、それは広告代理店が請け負おうと思えばできてしまうことです。逆に、デジタル広告は別として、マス広告については、ブランドコンサルティングファームではその実態が全くわかりません。「マス広告の理想論」としては提案できたとしても、マス広告は決して「論理的」なビジネスではないため、理想論を実現できないことが多々あるためです。こういった意味では、広告代理店の方がブランドコンサルティングファームにはできない独自性を有しています。よって、独自性を有する広告代理店の方が、「コンサルティングパートナー」としては、クライアントにとっての利用価値は高いと考えられます。



「媒体」に軸足を置く広告代理店と、「デザイン」に軸足を置くブランドコンサルティングファーム。経営/戦略コンサルティングファームや人材コンサルティングファーム、SIerコンサルティングファームなどコンサルティングファームにも種別が多くあるが、最も広告代理店と競合するのはブランドコンサルティングファームでした。しかし、上記のように「媒体」に軸足を置いている時点で、広告代理店の方に分があったのは事実です。広告代理店が今後競合する可能性が高いのは、経営/戦略コンサルティングファームやSIerコンサルティングファームです。その際には、「媒体」という優位性を広告代理店は保持できなくなります。当社は独自の「広告トータルプランニング会社」と定義していますが、今後、広告代理店とコンサルティングファームは、どういった争いに発展していくのかウォッチしていきたいです。

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