top of page
  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

【広告代理店変更】気を付けたい6つのポイント

更新日:2023年11月1日

大手広告主であれば多くの広告代理店が出入りし、担当広告代理店変更もしやすいだろう。しかし、中小企業の場合は、なかなか広告代理店を変更できないものだ。その理由は、これまで担当してきた広告代理店に知見がストックされている点と、他の広告代理店に変更しても大して差がないのではと思ってしまう点が大きいのではないだろうか。著者が17年勤めた総合広告代理店時代、上位競合他社から著者へと「代理店変更」してくださった広告主に恵まれた。広告代理店を変更しようと検討した場合に、どういう点に気を付けて広告代理店を選定すべきかについて、本稿で説明していきたい。


目次:【広告代理店変更】気を付けたい6つのポイント


1つ目「広告代理店に依頼する領域をきちんと特定する」

確かに、レスが遅く、広告主のビジネスをあまり理解しない広告代理店は多く存在する。しかし彼らも、広告主が支払っているうちの20%以下しかマージンがないことが多いため、多くの広告主を担当して初めて給料分の利益を捻出できるのである。それを前提にしたときに、明確に広告代理店側に依頼する部分を決めることがまずは重要なのだ。少し強引かもしれないが、著者はシンプルに、「決める」以外を任せる、とした方がビジネスのスピードが上がると考えている。



2つ目「ブランド戦略かプロモーション戦略かを考える」

今はブランド戦略に対応できる広告代理店担当者は少なくなってしまったが、本来は顧客接点だけではなくブランドの中長期戦略も広告代理店が担うべき領域である。ただし、「広告代理店はプロモーション領域しか対応できない」という認識が広告主にあるうえ、実際に、たとえ総合広告代理店勤務者であってもブランド戦略を担当できる人間はおそらく1%も存在しないのは事実である。


著者も17年間総合広告代理店に勤務したが、適するスタッフの少なさに悩み、自助努力をするほかなかった。しかし、「広告全体戦略に必要なデジタル、オフライン、マーケ、ブランド知見」でも説明しているように、本来は、ブランド戦略立案こそ、これからの「広告の専門家」には求められる領域だと著者は考えている。「ブランド戦略」または「ブランディング」については「ブランディングとは」をご覧いただきたい。


3つ目「総合的なプロモーション戦略か部分か」

プロモーション戦略か戦術かで大きく依頼する広告代理店が変わる。リスティングのように部分のみを依頼するのであれば、リスティングに特化した広告代理店を選ぶべきであろう。あるいは、Amazon内広告だけであればAmazon内広告に特化した広告代理店に依頼すべきである。逆に、予算提示だけを行いあらゆるプロモーション領域を検討したうえでベストなプランを提案してもらいたいのであれば、総合広告代理店などになるのであろう。


ただし、双方にメリットとデメリットがあることはあらかじめ認識しておかなければならない。専門・特化型広告代理店であれば、その領域における知見はストックされており、当然リーズナブルで、ある程度スピードが速い。しかし、あくまでその領域内だけのことを考えて提案してしまうことで、その領域以外の策の方広告主の本質的な課題を解決できる可能性があったとしても、専門領域だけでの提案となってしまうのだ。この点は、視野の狭さ・視座の低さが問題になる。


余談ではあるが、著者はそういった理由から、広告主から「ネット系代理店と我々(クライアント)の間に入ってくれ」と依頼されるケースが非常に多く、これまで10数社のネット系代理店と協業してきている。この点は「10社以上付き合ってわかった「ネット系代理店選び」3つのポイント」をご覧いただきたい。


さて、次に、総合広告代理店に依頼した場合、網羅的な提案を期待できる反面、多くの関連部署調整が必要となるため提案まで時間がかかり、かかわる人数が多いがために費用も高くなってしまう。フィーで考えると、広告主は驚く金額だろう。さらに、結局総合広告代理店も最も効率的な商品はマスメディアであるため、どうしてもマスメディアを中心に設計されることが多い。結果的に、網羅的ではあるものの、高額で、遅く、マス依存型の提案となりがちなのだ。


4つ目「費用か、効果か」

依頼する領域の違いや広さの違いによって、ある程度検索して調べることができるようになるが、その段階で、あくまで「費用を下げたいのか、成果を得たいのか」を決めておく必要がある。広告主の特徴として基本的に費用を下げようという意識が働いてしまうのだが、それでは「安かろう悪かろう」となり、結果的に自らの負担が増え、マーケティングの成果は鈍化し、マーケティングコストも高くなってしまう。これを防ぐためにも、著者としては「成果を得たい」と強く意識することが重要だと考えている。こうすることで、広告代理店の提案が成果にコミットしているのか、論理的であるのか、過去事例を持ち合わせているのか、といった視点が広がり、理解が深まっていくこととなるのである。


5つ目「担当者と合いそうか」

メールのやり取りや電話でのやり取りを数回もすれば、人はその人と合いそうか否かはわかるものだ。著者の経験上、どんなに提案が良くとも、提案内容よりも担当者との相性が最も重要だと考えている。著者が大事にしているポイントは、スピードが速いことと、資料作成が速いことの両輪であったが、これだけスピードが速くなったビジネスにおいて、スピードは必須要素ではないだろうか。あとは、年齢が近いとか同郷であるとか同窓であるとかで「相性」が決まることも勿論ある。そういった複合的な視点で担当者との相性を探ることをおススメする。


6つ目「うまい話ではないか」

これまでの5つのポイントを踏まえ、提案内容や担当者をもう一度フラットに考えてみる。その時に、美しいストーリーで、ビジネスがうまくいくようにしか思えない場合こそ、危険である。必ず、「こんなにうまくいくわけはない」と批判的に見るプロセスが必要だ。認知バイアスがかかっていないかを落ち着いて考えることをおススメしたい。提案とはある「前提」に基づいて行われるが、その「前提」が瓦解した場合に、その上に成り立つ論理はすべて崩壊してしまうからだ。この場合は「前提」が瓦解したらどうするのかを広告代理店担当者に聞けば、その反応によってパートナーとなりうるか否かを判断できるのではないだろうか。




本稿ではポイントを6つに絞って、「広告代理店を変更するときのポイント」を説明してきた。ポイントを上げれば枚挙に暇がないが、17年総合広告代理店に勤めた著者が、広告主がミスマッチで苦しむ様を横目に見ながら過ごしてきた中で重要だと感じていたポイントである。著者も今となっては「広告トータルプランニング会社」である当社を創業したが、広告主の皆様がより良い広告活動が実施できるよう、広告代理店選びに困らない世の中になることを願うばかりである。

bottom of page