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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

【コロナで売上激減?】衰退期に効果的なプロモーション施策6つのポイント

更新日:2023年3月22日

商品には必ずライフサイクルがある。導入期から始まって成長期、そして成熟期に入り、衰退期に突入する。人間に寿命があるように、必ず商品にもこういった栄枯盛衰があるのだ。「広告に、プロダクト・ライフ・サイクルの視点を」でも説明しているように、それぞれの時期に適したプロモーションも存在するのだが、著者が17年勤めた広告代理店社内ではそれぞれの時期に適したプロモーション施策が整理されておらず、プロダクト・ライフ・サイクルに無関係な「認知獲得」「理解促進」「イメージ変更」の提案ばかりが横行していたように思う。2022年現在のコロナ禍において、物価の値上がりと収入減少から、購買意向が変化し、これまで好調だった企業や商品で急に売上低下し始めているケースが増えている。プロダクト・ライフ・サイクルに照らすと、「衰退期」に突入してしまったということになる。広告トータルプランニング会社である当社でも、突如として売上低下となり、もしかしたら「衰退期」に入ってしまったのではないか?というクライアントからのご相談も増えている。本稿においては、「衰退期」にどういったプロモーション戦略を設計すべきかの基本戦略についてご説明していく。

※2022年9月29日改稿


本稿は、このような方におススメ!


✔ どうやっても売上が伸びない

✔ これまでと同じようにプロモーションしても反応がない

✔ 売上低下と共に広告費も削られて何を優先すべきかわからない

✔ 売上低下を見て衰退期と初めて知ったが何をすべきかわからない

✔ 競合が増えて差別化が難しくなってきた

✔ コロナで急に売り上げが下がった


それでは早速、「衰退期」に絞った形で適するプロモーションの6つのポイントについて説明していく。


目次:衰退期に効果的なプロモーション施策6つのポイント


ポイント①「衰退期」に行うべきことは何なのか

プロダクト・ライフ・サイクルにおいて、「衰退期」とは何を意味するのか。最も大きな違いは、「顧客」である。総合広告代理店はすぐに主語を「認知」としてしまいがちだが、「顧客」に焦点を絞らなければならない。「認知率が低下しているから売れてない」はある側面では正解であっても、「顧客が少ないから売れてない」が最も結論に近いはずである。導入期や成長期は「間口拡大」と呼ばれる「新規顧客」を獲得する時期である。単に認知が足らないのか、理解が足らないのかは別にして、「新規顧客を多く獲得する、つまりは間口拡大」を行う時期なのだ。対して、「衰退期」は「奥行き深化」の時期。可能な限りプロモーションコストを抑えて、「既存顧客にたくさん買ってもらう」努力をしなくてはならない。ここでCRMやアップセルの考え方も必要になりそうだが、基本的には「既存顧客にたくさん買ってもらう」ことだけをシンプルに考えれば良いのである。


衰退期に行うプロモーション
衰退期に行うプロモーション

ポイント②「奥行き深化」に貢献するプロモーション要件

まず、間口拡大の新規顧客獲得とは違い、認知よりも購入を優先すべきである。つまりは、購入接点に近い場所での「後押し」をしなくてはならない。そう考えると、店頭などの購入に近い場所で、「後押し」となりうるようなものとは何かを考えることとなる。「広告における認知神話の崩壊~販路至上主義へ~」でもご説明しているように、今は認知よりも販路に近い投資の方が投資としては適切であり、特に衰退期は「まず販路支援投資」となるのだ。店頭に近い場所で「購入の後押し」になるのは、商品自体と購入することによるメリットである、クローズドキャンペーンが奏功すると著者は考えている。


ポイント③商品は「本質価値」と「付加価値」の2つで成立している

商品は「本質価値」と「付加価値」の2つで成り立っている。「衰退期」にはどちらの価値を優先すべきか。それは「付加価値」である。プロモーションにおける「付加価値」とは、その商品の「中身」ではない部分における付加価値となる。つまり、そう考えた場合に、商品のファンではなく、ファンをすでに有している第三者の力を借りる方が効率的になるのである。ファンを保有していて、購入の後押しができるような「強いコンテンツ」が付加価値の代表となるのである。


ポイント④「付加価値」に効くアイテムはアイドルとキャラクター

「衰退期」に効力を発揮する「強いアイテム」は、結論から言うと、アイドルとキャラクターコンテンツだ。明らかなファンが存在し、その商品が「嫌でない限り」その商品を購入してくれる可能性があるのである。また、複数個購入の購入インセンティブとして「オリジナルグッズが当たる」設計とすれば、一人でいくつも購入してくれる可能性も秘めている。特に、国民的アイドルなどを起用すれば、熱狂的なファンたちがこぞって商品を購入する。しかも、1人で2つ購入するなどは当たり前である。また、国民的なキャラクターコンテンツも非常にパワーがあるのだ。コアファンは常にSNSなどで情報交換を行い、情報の拡散もとにかく速い。著者は「衰退期」になるとキャラクターコンテンツを活用したプロモーションを多く実施してきたが、一度として「外した」ことはないのである。


ポイント⑤コンテンツ活用方法は「商品化」と「販促利用」の2つ

アイドルやキャラクターといった強いコンテンツとのタイアップ方法は、オリジナルの商品を作るという「商品化」と、あくまでプロモーション領域のみで起用する「販促利用」とがある。著者も、その双方を手がけたことがあるが、やはりコンテンツの力を最大化できるのは「商品化」ではあるものの、コンテンツ側の許諾が降りない可能性も高く、「販促利用」にとどまることが多かった。しかしながら、「衰退期」のプロモーションにはこの「販促利用」であったとしても抜群の効果があった。幸いなことに市場ナンバーワンのロングセラーブランドを多く担当させて頂いたが、コンテンツを活用した販促プロモーション施策はすべてV字回復に貢献する結果となっていた。


ポイント⑥「衰退期」のコンテンツ利用は、あくまで延命措置

ここまで「衰退期」のプロモーションに、コンテンツが抜群の効果があることを説明してきた。しかしながら、「導入期や成長期といった新規顧客獲得の間口拡大期」にはコンテンツはおススメしない。なぜなら、「本質価値」よりも「付加価値」が浸透してしまうリスクがあるからだ。その商品の本質価値を、本当に買ってほしいターゲットに伝えなければならない時期に、付加価値で勝負してしまうと、その商品への本当のロイヤルユーザー化が難しくなってしまう。間口拡大の時期は商品の本質価値で購入を促すほかないのである。また、たとえ「衰退期」にコンテンツ活用プロモーションを実施したとしても、いつまでもその「付加価値」に頼っていてはいけない。著者は必ずこの時期に「ブランドワークショップ」などを開いて、同じブランドで新たな商品が作れないかの検討を同時並行で行っていた。このワークショップの経験が当社の「BRAND PALETTE」開発に至っているが、「付加価値」だけで評価され始めたブランドに持続的な成長は見込めないから。「衰退期」のコンテンツ活用プロモーションはあくまで延命措置と定義すべきなのである。


キャラクター活用は一時的
キャラクター活用は一時的

プロダクト・ライフ・サイクルに従って適するプロモーションは規定される。しかも、「衰退期」のコンテンツ活用プロモーションは延命措置でしかない。「広告トータルプランニング会社」である当社として、「PLC MIX」を今の状況をどうとらえるかの可視化のために開発し、「BLC」をブランドの持続的成長のために開発した。さらに「BRAND PALETTE」などを用いて新たな商品開発を行う必要がある。「衰退期」こそ、ブランドが持続的な成長を実現できるかの、一番のカギとなる時期だと著者は考えている。

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