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執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

広告代理店の失敗しない選び方5つのポイント

更新日:2023年3月23日

著者が2004年に総合広告代理店に入社してから17年の間に、総合広告代理店側にいたものの、広告主による多くの「失敗する」広告代理店選びを目の当たりにしてきた。総合広告代理店に依頼したい内容または領域と、デジタル専業広告代理店に依頼したい内容または領域が異なるが、共通する点とそれぞれ異なる「失敗する選び方」が存在した。今は「広告トータルプランニング会社」を設立した著者が、あくまで第三者の目線で、「失敗しない広告代理店選びの共通項」と「それぞれの種別に応じた失敗しない広告代理店の選び方」を説明していく。


本稿はこのような方におススメ!


✔ なかなか相性の良い広告代理店が見つからない

✔ 大手に頼んでもピンとくる提案が出てこない

✔ 納得できない提案に対して納得できない見積もりが上がってくる

✔ 広告に詳しくない広告代理店が多いと感じている


目的:18年間広告代理店にいたからわかる広告代理店の失敗しない選び方


①共通して失敗する広告代理店の選び方「規模の大きさ」

総合広告代理店、ネット系広告代理店に限らず、まず初めに、「失敗する」広告代理店の選び方の共通項を説明する。最も多いのは「規模で選ぶ」ことである。確かに、規模が大きければ大きいほど、社内にはあらゆる案件のケーススタディーがストックされている。会社案内、クレデンシャル資料とも呼ばれるが、そのケーススタディーのすべてが記載されているだろう。こうしたことにより、「この担当者もそれができるのだろう、会社案内に掲載されている事例を担当したスタッフをアサインしてくれるのだろう」と淡い期待をしてしまう。しかし、会社案内に掲載されている案件に対する知見を有している人間が担当となる可能性は極めて低い。また、たとえそのケーススタディー案件を「経験」していたとしても、マネージメントとして、またはディレクターとして担当していたため、現場における「実態」については知る由もないのである。また、広告主とはNDAを締結することが一般的となった今、大手になればなるほど社内には「担当広告主の競合にあたる広告主担当」が存在しており、たとえば企画書の共有などは倫理的に行われず、知見の共有がなされない。つまり、企業規模が大きいからと言って、担当者にその知見があるわけではないと認識した方が良いのである。


②「規模の大きさ」は分業制を生み出す

規模で選んで失敗してしまう理由はまだある。それが、「分業制」だ。総合広告代理店や大手ネット系広告代理店であれば、社内に、ストラテジックプランナー、クリエイティブディレクター、デジタルクリエイティブディレクター、マス広告メディアプランナーと、デジタルメディアプランナー、オウンドメディアプランナーなどがそろっている。この「分業制」の問題は、「アサインに時間がかかる」という点と「全スタッフにフィーが発生してしまう」という点にある。それぞれの分野が複雑に絡み合っているため、専門性を高めることは重要ではあるが、全領域のスタッフをそれぞれアサインしていたのでは、提案までに数週間もの時間を要してしまうことになる。そのうえ、広告主からすれば顔も覚えてすらいないスタッフに対してもフィーが発生し、担当営業から法外なフィー費用を要求されてしまう。広告主がアサインしていないにもかかわらず、である。この「分業制がもたらすデメリット」を、規模が大きい広告代理店ほど、広告主に与えてしまうのである。



③「規模の大きさ」が保証効果ではなくなってしまった

規模の大きさがもたらすデメリットの最後は、「保証効果が意味をなさなくなった」ことである。かつては「保証効果」として、たとえ高くても大手総合広告代理店に依頼するケースが多かった。広告施策が失敗に終わっても、「大手に頼んだのだから仕方ない」と言われていたためである。つまり、高額な費用をかけて「失敗した時の保証効果」を買っていたに等しい。しかしながら、今は「効率至上主義」。そのような言い訳が通用しないのである。「コスト効率の悪い、大手広告代理店」に依頼しても、失敗しては意味がない。「規模の大きさ」で「保証」を買おうとすること自体が、「失敗」となってしまうのである。つまり、総合広告代理店、ネット系代理店かに関係なく、「規模で選ばない」ことが「失敗しない広告代理店の選び方」の1つなのである。


④「総合広告代理店」の「失敗しない」選び方

次に、総合広告代理店で「失敗しない」選び方を説明していく。多くのケーススタディーが揃っている総合広告代理店だが、その専門性はどうしても「旧来型の戦略立案」と「マス広告」に偏っている。「旧来型の戦略立案」とは、「認知至上主義」であり、売り場に近い知見がないことが多い。戦略を提案される際は、売り場に関する知見があるのか、特にデジタル周りの知見があるのかを確認することが「失敗しない」総合広告代理店選びの一つである。リスティングや、SEOなど、実際に商品を売る時に最も重要なスキルを有しない人間が極めて多いためだ。また、大きな変化のない「マス広告」ではなく、日夜進化が止まらないデジタル広告の知見も有しているのかも、「失敗しない」総合広告代理店選定には欠かせないと著者は考えている。著者もいわゆる「大手総合広告代理店」に勤めていたが、横のつながりも強かった。何より、著者の姉も「最大手総合広告代理店」に勤めている。業界内で会話するが、基本的にはデジタルの、特に刈取り領域の知見は総じて乏しく、D2CやDXが摂り座される中では「取り残されている」存在となっている。専売品であった「マス広告媒体扱い」も「広告代理店を取り巻く厳しい環境~競合参入篇①「TVメディア」~」で説明しているようにディスラプションプレイヤーも増え、制作領域もクリエイティブブティックなどによって窮地に立たされているのである。



⑤「ネット系広告代理店」の「失敗しない」選び方

次に、ネット系広告代理店の選び方について説明していく。「10社以上付き合ってわかった「ネット系広告代理店選び」3つのポイント」で詳細は説明しているが、日夜、デジタル広告は進化を続けている。そして、その進化された情報のアップデートに、ネット系代理店は追われてしまう。確かに、デジタル広告に対する情報の鮮度や網羅性は高い。しかしながら、基礎的なマーケティング知見を有していないことが多い。ここでいう「マーケティング」とは「Webマーケティング」や「デジタルマーケティング」、「マーケティングオートメーション」のことではなく、一般的なマーケティング理論のことである。マーケティング理論が前提にない場合、常にCTRやCPCなどの「効率論」に追われ、プラットフォーマーの提供する情報に左右され、「先を読んだ成長戦略」を描くことができなくなる。この「マーケティング知見」があるかどうかを見極めることが「失敗しない」デジタル専業広告代理店選びの第一歩だと著者は考えている。さらに、もし読者様がB2Bのスタートアップであれば「B2Bスタートアップ企業のネット系代理店探し、4のポイント」をご覧いただきたい。


毎年6兆円もの広告費が、広告主から支払われている。その分、日本は本当に成長しているのか。広告代理店側にも問題があることは承知の上、「失敗しない」広告代理店選びを広告主が行い、広告投資に対してきちんと見合う成果を得てほしいものである。なお、PR会社の選び方については「初めてのPR会社選びで気を付けたい5つのポイント」をご覧いただきたい。もし選び方に悩んだら選定のポイントをより詳細にお伝えすることができるため、「広告カウンセリング会社」である当社の無料相談を受けて頂きたい。

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