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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

10社以上付き合ってわかった「ネット系代理店選び」3つのポイント

更新日:2023年3月23日

17年にもわたる総合広告代理店勤務時代、10社以上のデジタル専業広告代理店と協業した。ここでは、より一般的に用いられている「ネット系代理店」と呼ぶことにするが、彼らと競合コンペで戦うことも多く経験したが、記憶が確かであれば負けたことは一度もなかった。多かったパターンが、コンペ後に「ネット系代理店と協業する」ケースである。その協業経験を経て、ネット系代理店との付き合い方を多少なりとも知ることができたので、本稿で3つの選定ポイントについて説明していく。


目次:10社以上付き合ってわかった「ネット系代理店選び」3つのポイント


ネット系代理店には様々なパターンがある

ネット系代理店と言っても、その種別は数多くある。まずは規模の違いである。数千人規模の企業もあれば、10数人程度の企業もあり、ご存じのように網羅性で言えば大企業であり、専門性であれば10数人程度の企業でも問題ない。また、「広告主の代理」として創業したのか、「媒体社の代理=レップ」として創業したのかで、大事にしている視点が異なる。さらに、「運用系」なのか「予約系」なのかでも大きく異なるが、最近では双方を請け負うパターンが多い気がする。さらに、当然のこと、「制作系」なのか「媒体系」なのかもある。ひとえにネット系代理店と言っても千差万別なのである。



ポイント①新規担当と実作業が分かれていないか

営業を経験したことのある方ならだれでもわかるかもしれないが、新規獲得が得意な人間と、固定客を得意とする人間がいる。確かにメーカーなどであれば、商品は同じであるため、そこまで営業によって差がつかない。しかし、広告の世界は営業担当によって、全くといって良いほど「商品」が変わってしまう。ネット系代理店でありがちなのが、優秀な人間を「新規獲得担当」としてしまい、新規をコンペ等で獲得して、その後は「固定客担当」の営業が請け負うパターンである。いかに初めての提案が良い提案であり、営業担当の印象が良かったとしても、全く意味がないのだ。著者が驚いたのは、こういった慣習があたかも当たり前のように行われていることである。上記にあげた、ネット系代理店の分類に寄らず、こういったケースに出くわした場合、広告主はコンペ参加条件として「担当営業変更をしないこと」と銘打っておいた方が得策であろう。


ポイント②部署異動が頻繁に行われないか

若手比率が高いこともあるのだろうが、ネット系代理店は人の出入りが激しい。多く採用するが、大量に退職し、同時に大量に中途社員を雇う。人の出入りの多さに相まって、頻繁に社内人事異動が行われてしまう。ネット系代理店と協業する場合には、「営業」「運用」「コンサル」が1チームになることが多いが、著者が付き合っていたネット系代理店は、本当に毎月のように「営業」か「運用」か「コンサル」が部署異動して、担当変更連絡が来ていた。そのたびに、前任に教育していたことは引き継がれておらず、一から教育することになり、その稼働は想像を絶するものであった。こちらも、ネット系代理店には共通することであるので、広告主は、コンペ時または業務委託時に、「パートナーとなるポジションの人間を、少なくとも1年間は異動等させないこと」などと銘打った方が良いだろう。人さまの人事に口を出すことでは決してなく、「契約条件」にしてしまうのである。


ポイント③規模が大きくない

最後に、これは唯一共通することではないのだが、著者としては規模が大きすぎないことを選定ポイントに挙げておきたい。実は上記の2つのポイントは規模が大きい会社の方がその発生率が高かったのである。規模の大きい会社となれば、適材適所が徹底している。新規獲得に向く人間と固定客担当とで担当を分けるのは合理的であろう。これが一つ目のポイントである「新規獲得担当」と「固定客担当」が別になる理由だ。確かに、変化の激しいネット広告において、新しいSNSができれば、そこに人は必要になるし、逆に旧来存在したメディアにいつまでも人を付けておくことはできない。とにかくスピーディに人事異動を行うのだ。よって、特に2つ目のポイントにあるような頻繁な人事異動が発生する。つまり、持続的な成長を狙い、合理的に人員配置を行うことができる、「大企業」が広告主にとってはリスクになりうる要素なのである。ここに異論があるかもしれないが、少なくとも10年以上にわたり、10社以上のネット系代理店と付き合った著者の主観であるためご容赦いただきたい。



ネット系代理店も日夜その数を増やし続けている。SEOやリスティングなど、今や必須となったデジタル広告で、あらゆる企業がネット系代理店探しに悩んでいるのではないであろうか。さらに最近では、SNSマーケティング会社も増えている。「広告トータルプランニング会社」である当社では本稿のようなネット系代理店の選び方のほかにもPR会社の選び方ついてもポイントをお伝えしているが、正しい商取引がなされれば、広告で正しく成長する企業が増え、日本が成長すると著者は信じている。


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