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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

【本当はどうなの?】公式SNSアカウント運用の重要性と難しさ

更新日:2023年3月23日

PESOモデルも一般化し、そのうちの「O=Owned Media」であるSNSの重要性を軽んじる意見は、今のプロモーション戦略にはありえないだろう。LINE公式アカウントに始まり、公式Instagram、公式Twitter、そして公式Facebok。すべてが異なる使われ方をしているがために、広告主もその違いを明確に理解しながら運用する必要がある。17年勤めた総合広告代理店時代、著者もすべての公式SNSアカウント運用を請け負ってきたが、日に日にその重要性も高まり、それとともに難しさも感じていた。2016年からLINE公式アカウントおよび公式Facebok、そして2019年から公式Twitterと公式Instagramを運用し、公式Twitterについては25万人以上のフォロワーまで成長させることができた。公式Facebokはほぼブランドサイトと同じ役割となるため、本稿では、公式Instagram、公式Twitter、LINE公式アカウントに絞って、SNS運用の重要性と難しさについて説明していく。


目次:公式SNSアカウント運用の重要性と難しさ


PESOモデルから読み解く公式SNS

Paid Media、Earned Media、Shared Media、Owned Mediaの頭文字からPESOモデルと呼ばれているが、中でもOwned Mediaの重要性の高まりは言うまでもないかと思う。「少ブランド多品種少量生産時代のプロモーション」でも説明しているように、消費者が購入検討する際にブランド自体を調べる検索行動が増えており、その際に「ビジュアル」を探し求めて公式Instagramに、「ウラ話」を求めて公式Twitterにアクセスする。よって、マス広告と比べたらリーチ人数は少ないながらも、購買行動においては欠かせない存在となっている。今叫ばれているFUN MARKETING(ファン・マーケティング)の重要な一角を担うのが公式SNSなのだ。



供給が追い付かないビジネス構造に

公式SNS運用の重要性が増す一方ではあるが、リーチ人数の少なさから、広告主はあまり高額には運用費用をかけられない。公式SNS運用を専門とするSNSマーケティング会社も存在しているが、媒体案件ではなく労働集約型のビジネスモデルであるため、費用対効果の観点から定価を高く設定していることが多い。広告主は、公式SNS運用には高額な費用を支払うか、社内で内製化するかの二択になる。つまり、低コストで運用してくれるSNSマーケティング会社、または社内での専門部署がないため、広告主の公式SNS運用についての需要と供給が一致していない状況にあるのだ。



高額な費用は払えない中で高まる広告主の要求

公式SNS運用における需給の不一致は前述した。しかしながら、当然のこと、広告主の公式SNS運用に対する需要は高まる一方である。それだけ、SNS内での購入検討が増えているのだ。まだ、認知媒体としては「広告」には及ばないものの、公式SNSの投稿が認知に与える影響も大きく、「広告」がスキップされがちなSNSにおいては公式SNSでのリーチ効率の方が圧倒的に高いのである。ただでさえ、需給が不一致であるにもかかわらず、その不一致はいま、さらに大きな問題となりつつある。


SNSマーケティング会社を探し回る広告主

本来は、公式SNSは広告主が内製化する方が効率的であるのだが、人員不足などを理由に内製化が難しい企業が多く存在する。そのため外注先を探さざるを得ない中、上述のように高額なコストはかけられないがために、安価な請負先を探し、スピードやクオリティに不満を感じ、また別のSNSマーケティング会社を探す。いくつかのSNSマーケティング会社と業務を行うことで、SNSマーケティング会社間で大した差はなく、投稿専用画像や動画の重要性に行き着く。ただし、クオリティを上げようと思えば、投稿用の画像や動画などの手配も別途行う必要があり、つまりは制作費が上乗せになる。結局費用が上がってしまうのだが、それでも何とかコストを圧縮したい。こうして、「どうしようか」とまた頭を抱えることになるのだ。なお、どういうSNSマーケティング会社が良いかについては「10社以上付き合ってわかった「ネット系代理店選び」3つのポイント」をご覧いただきたい。


コストをかけたからといって成果が見えづらい公式SNS

たとえ、費用をかけて公式SNSをリッチにしたとしても、投資に見合ったフォロワー数の増加が見られるわけでもないのが、公式SNSの難しいところだ。さらに、フォロワー数の伸びと商品やサービスの売上とも相関しないことが多い。重要だとは思っているが、フォロワー数を伸ばす秘訣も業種業態を問わない形では方程式化されておらず、フォロワー数が増えたからと言って売上に直接ヒットするわけではない。SNSマーケティング会社は公式Instagramや公式Twitterでのフォロワー獲得方法をアピールするが、一部企業の成功事例でしかなく、業種業態やブランドの市場ポジションが異なれば全く意味をなさない方程式となっているのだ。著者もSNSマーケティング会社5社ほどと仕事をしてきたが、そういった会社のサイトや紹介資料などを見て「SNS成功の方程式」に期待して依頼するものの、なかなかその方程式はワーク背せず、長いお付き合いにはなることはなかった。確かに方程式化は難しいものではあるが、現在プロモーション戦略が奏功して売上を伸ばしている企業は、どこも公式SNSをフル活用していることには変わらないのである。


Instagramは「ビジュアル」を見に来ている

「公式SNS成功の方程式」が成立しづらいことは前述した通りだが、著者がポイントに置いていたのは、Instagramの情報収集は「ビジュアル」を目的に行われているという事であった。各SNSがお互いの強みを真似て類似サービスをローンチするがために、どうしても似てきてしまうのであるが、本来、ユーザーのInstagram接触目的はシンプルである。つまり、ビジュアルで訴えかけられる商材以外、公式Instagram運用は意味をなさない。その中での努力も無駄である。逆にビジュアルで訴えかけられる商材は投稿用の画像や動画をきちんと制作し、ハッシュタグマネジメントをきちんと行えさえすればフォロワーが増え、画像保存なども増えるのである。フォロワーが増えさえすれば、ストーリーを活用してスワイプアップなどで自社ECで商品販売を促すこともできる。さすがにこの程度は「成功の方程式」とまでは呼べないが、売上につながる公式Instagram運用の「キホン」なのである。


Twitterは「ウラ話」を見に来ている

Instagramとは違い、Twitterは「ウラ話」を目的に情報接触している。広告戦略における「ウラ話」とは「商品の意外な話」「開発秘話」「キャンペーン」など、人に拡散したくなる情報が相性が良い。「商品認知」に重きを置いたInstagramと比較すると「商品理解」「購入促進」といった側面が強くなる。そういった意味では、公式Instagramよりも、公式Twitterの方が情報提供しやすく、運用しやすい広告主は多いのではないだろうか。ビジュアルで訴えかけられない商材も多くあるとは思うが、その場合は公式Instagramでのリーチはあきらめ、公式Twitterに専念することをおススメする。


LINE公式アカウントのクーポンも、結局は値引き施策

最後にLINE公式アカウント運用について説明する。LINEを活用した新規顧客施策はあるものの、LINE公式アカウントはあくまでCRMのためにある。かつては「スタンプ広告」を用いて「友だち」獲得している企業もあったが、今では顧客でもない「友だち」の獲得のために、「スタンプ広告」に数千万円の費用をかける企業は極めて少ないだろう。商品のファンになり、「友だち」となってもらうことが何より重要で、あくまでCRMまたはLTV向上のためにLINE公式アカウントがあると考えて間違いない。ただし、たとえば、「友だち」限定でのクーポン発行をすることで一時的に商品の売上は上がるものの、結局割引クーポンの貢献によるものであって、クーポンという値引き額とそれにかかる費用を鑑みたら、たとえ売上が上がったとしても利益は逆に下がってしまっていることが多い点も注意しなければならない。本当に商品のファンであれば、クーポンがなくとも、つまりは値下げをせずとも、商品を買ってくれた可能性があるのである。


これだけ需要が高まっているにも関わらず、フォロワー数を向上させることにコミットしたSNSマーケティング会社が存在するのみである。単にフォロワー数をあげるために、毎月高額な支出をすることは無駄遣いに近い。B2Bでは公式SNS運用は必然性が低いため、「広告トータルプランニング会社」である当社では公式SNSをあまり運用していないが、公式SNS運用の成熟度が高まり、いつか「きちんと公式SNS運用で売り上げに貢献する方程式」が出来上がれば、ぜひ当社でも挑戦してみたい。

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