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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

クリエイティブ・ブリーフの未来を考える~正しいクリエイティブジャンプへ~

更新日:2023年10月24日

広告主から、または広告代理店から、クリエイターに対して行うオリエンテーションをクリエイティブ・ブリーフと呼ぶ。広告クリエイティブ開発に関して要点をおさえたもの、という意味であるが、オリエンテーションとなんら変わらないことが多い。また、クリエイティブ・ディレクターはその名の通りクリエイティブをディレクション、つまりは方向付け・指示・命令する役割を担っている。著者は17年の総合広告代理店勤務期間中、ブリーフやディレクションを数百回にわたって行ってきた。「クリエイティブの誤解~クリエイティブは左脳作業~」でも説明しているように、クリエイティブは本来極めて左脳的な作業にもかかわらずブリーフ次第では「無駄なジャンプ」をしてしまうリスクがあるためだ。本稿では、クリエイティブ開発に必要なことと、正しいクリエイティブジャンプのための、クリエイティブ・ブリーフについて説明していく。

※2022年10月7日改稿


本稿はこのような方におススメです


✔ クリエイティブブリーフがどういうものなのかわからない

✔ いつものクリエイティブブリーフで正しいのか疑問

✔ クリエイターからブリーフが下手と言われる理由を知りたい

✔ クリエイター依存度の高い広告戦略になっている

✔ きちんとクリエイターをコントロールしたい

✔ 正しくクリエイティブジャンプさせたい



目次:クリエイティブ・ブリーフの未来を考える~正しいクリエイティブジャンプへ~


広告クリエイティブ開発に必要なこと

前提として、広告表現において最も大事なものは、商品+コピーである。異論があるかもしれないが、著者はそう確信している。映像やデザインとして引きのあるものは重要だとはいえ、映像やデザインとして美しいか、それらが耳目を集めるかは、広告対象物の売上とは無関係であることが多かった。つまり、クリエイティブ開発に最も重要なことは、その広告対象物が存在する市場において、そのクリエイティブがどういう役目を果たすのかという、市場における戦略であった。しかし残念なことに、市場に対する戦略と広告クリエイティブが分断されていることが多く、まるでそれぞれの役割が異なっているかのような提案を見聞きすることが多かった。それは市場における戦略を広告クリエイターが自ら理解することが少なく、ブリーフなのかオリエン待ちをしているためであったと思っている。重ねてになるが、広告クリエイティブ開発に最も必要なことは市場の攻略戦略なのである。注目度を高めるため「だけ」のデザインに注力してはならず、「話題性」に躍起になることもご法度なのである。


クリエイティブ・ディレクションとは

広告におけるクリエイティブ・ディレクションとは何なのか。あくまでアートディレクターやデザイナー、CMプランナーやコピーライターに対して、広告主または広告代理店営業からのオリエン内容を要約して方針を出すし、クリエイティブの管理を行うことが、広告におけるクリエイティブ・ディレクションであるというのが大半の回答であろう。この定義について、著者は全く異論がない。まさに、今の広告クリエイティブ・ディレクターはそれを行っていると感じている。


「今」のクリエイティブ・ブリーフとは

「KPI」が流行語になってしまっているが、商品認知率や好意度、CV数や、アプリであればDL数などが、目標となることがKPIとして設定されることが多い。また、大手広告主になると、1990年代に規定された「クリエイティブ・ブリーフ」のフォーマットに則って、オリエンを行うことが多い。これらはネットで検索すればそのフォーマットは数多掲載されているため、独自に勉強する必要はないが、市場に対する目標設定についての言及が弱いという難点があった。


正しいクリエイティブジャンプのためのブリーフとは

著者が広告代理店に勤めていたころは、一般化されているために「ブリーフ」という名称は用いていたが、実質的な意味合いは、一般的な「ブリーフ」とは違っていたと考えている。著者が行っていたのは、「狙う市場・その市場の攻め方・その市場を攻めるためのクリエイティブ開発方針」を明確にすることであった。人によって解釈は異なるが、営業がクリエイターを「方向付け・指示・命令」する意味合いも含まなくもないが、「導く」意識の方が高かったため、「Lead」または「Leading」が正しいと感じていた。


クリエイティブジャンプ
クリエイティブジャンプ

市場縮小時代に正しい「ブリーフ」と「ジャンプ」を

かつては、市場一つ一つが大きく、細分化されておらず、市場の見方が曖昧であってもそれなりの広告クリエイティブ効果が期待できたかもしれない。しかし、今は市場縮小時代であり、細分化時代である。明確に市場を定義し、その市場を開拓する戦略を用いなければ広告クリエイティブ効果は期待できない。その中で市場の攻略方法、つまりは戦略を、明確に明示しつつ、クリエイターを「導く」考え方が広告主および広告代理店の営業には求められるのではないかと考えている。



クリエイターに対して市場への意識を持たせることで正しい「クリエイティブジャンプ」を期待するためのブリーフ。市場のライフサイクルが速く、市場定義も変化しやすい今、的確に広告クリエイター達を正しい方向に導かなければ、広告クリエイティブ効果はその効力を発揮しないと考えている。なお、「広告トータルプランニング会社」である当社では、ブリーフフォーマットをご用意している。「独特な商慣習の「TV広告」との向き合い方」や「広告代理店が悩まないオリエンシートの構成要素」ともほぼ同じことではあるが、きちんと市場定義などを行ったうえでの「クリエイティブジャンプ」がいつか一般化されることを、著者は切に望んでいる。

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