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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

広告代理店お悩みランキングTOP15

更新日:2023年10月24日

17年間総合広告代理店に勤務し、今では「広告トータルプランニング会社」として広告代理店と接する著者が、圧倒的な主観で選ぶお悩みランキングについて、TOP15を発表する。


本稿はこのような方におススメです!

✔ 広告代理店の新卒入社試験を受けようか悩んでいる

✔ 広告代理店に転職しようか悩んでいる

✔ 広告代理店に勤務しているが、悩みがある

✔ 広告代理店と接している中で理解できない修正や慣習が多い

✔ 広告代理店に勤務して悩んでいるが、自分だけ特殊事情なのか気になる


目次:広告代理店お悩みランキングTOP15

 14位:仕事が地味


15位:精神疾患を発症して休職する人が多い

「最終の決定権は常に他者にある」ことが広告代理店。クライアントが提案の採用権があり予算を確定する権利がある。TVCMを流す責任も最終的にはTV局となり、TVCMの演出を決めていくのも監督となる。つまり、戦略立案や企画立案をしても最終的には人がその決定権を持っており、中々裁量を持てないことも多い。そのせいもあって「板挟み」になることも多く、メンタルダウンしてしまう人も多いのだ。結果的に、周りは全員メンタルダウンして休職や転職をしてしまい、自分一人だけが残っている、という状況も生まれてしまう。


14位:仕事が地味

著者も述べ500名以上の総合広告代理店就職希望学生の面接官を務めたが、広告代理店に対して「華やかなイメージ」を抱いてくることが多かった。著者は姉が最大手の総合広告代理店に勤務していたため、学生時代にそういったイメージを抱く事は皆無であったが、世の中ではそう誤認されている部分も多いのだろう。著者はあまりそう感じることのない、ありがたい仕事に巡り合うことができたが、周りでは新人時代は「雑用」をとにかくこなす日々を過ごしている若手も多かった。こういったことが悩みの上位に来るのだろう。


13位:コンペに勝てない

広告代理店では日々競合コンペが行われている。常勝チームは常にクライアントを多く担当し、時間を余すところが無いため、「そうではない」チームが競合コンペを担当することとなる。ただ、「そうではない」チームには「そうではない」理由がきちんとある。負け癖が一度ついてしまうと、なかなかその考え方から脱却することができない。前回のコンペと今回のコンペはテーマもクライアントも予算も全く違うにもかかわらず「前回こうして負けたので今回はそれをしないようにしよう」と考えてしまうのである。それは今回においては全く関係のないことであるにも関わらず、である。結果的に、負のスパイラルに陥ってしまうことが散見できた。


12位:すぐにコンペにかけられる

持続的な成長を実現している企業は、必ず長期的なパートナーとして広告代理店を選び、すぐにコンペは行わない。ともに中長期戦略を描き、ともに成長を実現する方が確率が高く効率が良いと知っているからだ。しかしながら、多くの広告主は、広告代理店を、一部、しかも短期で委託する「業者」としか扱っていないことが多い。そのせいもあって広告代理店は中長期戦略を描く機会が少なく、広告代理店も短期的な視点しか持てなくなる。この負のスパイラルは広告代理店のスキルを上げさせないだけではなく、「コンペ地獄」に巻き込まれ続け、頭を悩ませ続けることになるのである。


11位:サービス残業が多い

コンプライアンス違反としてリスクの大きい36協定順守の意識が「役員レイヤー」には浸透しているものの、日々広告主と対面する営業や、人気スタッフなどは、異常なまでの業務量に対して、どうしても既定の就業時間内に業務を終えることはできない。ビジネスのスピードが速まり、天変地異も含めて何が起こるかわからない時代に、即座にプロモーション施策の変更や検討がなされるのは当たり前のことである。しかし、正規には残業申請ができず、結果的にサービス残業を行うことになる。こうして、サービス残業に頭を悩ませることになるのである。


10位:クライアント担当者が変わるとすべてが変わる

大企業になると2~3年程度で定期的な人事異動が行われる。時期としては4月1日なのか、7月1日なのかはまちまちだが、年に2回ほど異動のヤマがある。その際に問題になるのが、後任の方が実施担当にはなるものの、事前の計画段階は前任の方が行うため、異動直後はどうしてもちぐはぐが発生してしまう。中には「前任否定」をモットーとするクライアントもおり、広告代理店はこの異動のタイミングで戦々恐々とし、担当者の異動が確定すると、頭を抱えてしまう。


9位:責任を取らされ続ける

総合広告代理店は数多くの業種の大小さまざまな企業や個人と協業して日々活動している。幅広い業務を行うことにはなるが、決して高くないマージンやコミッション、フィーが利益として得られるのみで、クライアントが払っている全費用に比べて、広告代理店が実際に得られる利益との乖離が起こる。さらに、何か問題が発生した場合にはクライアントと契約をしている広告代理店がトラブルの責任を取ることになるため、トラブルの経緯報告書を提出し続けるような人も多いだろう。



8位:絶対に現場をやらない上司

これは人にもよる。ただし、現場に顔を出さない人がとても多かった。今もまだ、総合広告代理店の管理職は古き良き時代を生き抜いた方が多く、彼らが現場だった時には、17時には会社を出てクライアントや部下と飲みに行く姿こそ総合広告代理店の管理職だったという偶像がある。その認識のまま自らが管理職になり、時代が変わった今も同じような働き方をしてしまっているケースがとても多かったように思う。


7位:社内での敵対関係が多い

個性が強い人間が多く集うのが総合広告代理店。個性が強いと言えば素敵な表現だが、実際は社内のそこかしこでぶつかりあって日々内輪喧嘩が起こっている。職種の違い、たとえばストラテジックプランナーとクリエイティブディレクターがぶつかることの問題は、案件提案の前にどちらかが降りるとなることや、もう二度と同じチームでのスタッフィングができないどころか、それぞれの部下たちも、「うちの上司が揉めたのであの人とはできない」といって、アサインができないこともよくある。


6位:提案がぐちゃぐちゃになってしまう

スタッフが多く関わって一つの提案を行うため、事前に提案骨子が固まっていない場合、前段とクリエイティブ、メディアプランがぐちゃぐちゃになることが多い。ストラテジックプランナーとクリエイティブディレクター、メディアプランナーがパラレルで走ってしまい、最後にがっちゃんこするがために、提案直前に乖離がでてしまうことが原因だ。クライアントにとっても理解しがたい一気通貫でない提案が頻発してしまうのは、提案まで与えられる時間の短さと、36協定順守の残業禁止とが合わさってしまうこがために、各パートが同時に走らざるを得ない点が大きな理由である。


5位:人の入れ替わりが速すぎる

中途採用市場の活性化によって、異業種からの転職も非常に増えている。それがために、異動や転職なりで担当者がいなくなってしまった場合に、未経験であっても中途採用で穴埋めを行うケースが増えている。クライアントを長く担当している営業は、クライアントから「全然広告を知らないじゃないか!」と叱責を頂いてしまうことも多々あった。この点は「広告代理店を取り巻く厳しい環境~人材・働き方篇~」をご覧いただきたい。


4位:一部だけ現場をやりたがる上司がいる

8位にある、現場に全く関与しない管理職とは逆に、一部だけは自分で現場を担当したがる管理職もいる。こちらは大きく2つの問題を孕んでいる。一向にその業務の引継ぎが行われず、ブラックボックス化してしまう点が1つ。そして、適するマネージメントを行わない点が2つ目。マイクロマネージメントを避けるように言われつつある昨今だが、まだ一部には案件を手放さずに業務を担当する管理職も、いるにはいるのである。


3位:根回しだけで日が暮れる

人と人が円滑に業務を行うために、日本企業においては必ず根回しというものが行われてきた。徒弟制度に近い派閥争いや部署間闘争などが多く絡まりあって成り立っている総合広告代理店では根回しが非常に重視されている。ただし、働ける時間が規制されている中、直接会って、または電話などで根回しを行い続け、日が暮れることもよく見られた。


2位:最新のデジタル情報についていけない

マス広告がメインだった時代は過ぎ去り、日夜新しい広告メニューが生まれる、SNSをはじめとしたデジタル広告のスピードに、多くの総合広告代理店勤務者がついていけなかったことを記憶している。せっかく覚えたデジタルメニューも、すぐにメニュー名が変わったり条件や金額が変わったりと、新メニュー把握だけではなく、アップデート情報も常に情報入手しておく必要があった。この点は「総合広告代理店に対する誤解~SEOやリスティングは不得意~」や「オウンドメディア中心のプロモーションに総合広告代理店はどう向き合うか」をご覧いただきたい。



1位:担当できる人がいない

「ブラック企業」と言われれば、総合広告代理店が上位にあがるだろう。しかしながら、今はワークシェアリングを意識し、36協定を順守する形で、企業運営を行わなくてはならなくなっている。この場合、営業担当者はもとより、スタッフ職であっても残業ができない状況のため、案件が宙ぶらりんになってしまい、「遅い!」とクライアントから怒られ、残業するなと上司から怒られる日々を送ることになる。この点も「広告代理店を取り巻く厳しい環境~人材・働き方篇~」をご覧いただきたい。


著者はこうした悩みを抱え続けた総合広告代理店を辞め、「広告トータルプランニング会社」である当社を設立したが、こうして振り返ってみると総合広告代理店勤務者は本当に大変である。

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