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  • 執筆者の写真バイタイム_西村 昭二

「その日」に広告を出したいなら「新聞広告」

更新日:2023年3月23日

朝日新聞、読売新聞と、かつてのメディアの長であった新聞。最近は購読者数も減り、電子版への加入促進広告も実施している。17年の総合広告代理店勤務時代、正確には数え切れないのだが、おそらく200回以上は広告出稿を行った著者が、新聞広告について、簡潔に説明をしていく。


目次:「その日」に広告を出したいなら「新聞広告」



広告収入は新聞社全収入の1/4程度

新聞社の収入は、販売収入が60%程度、不動産などの営業外収入が20%、残りの20%程度が広告収入である。テレビやラジオも営業外収入が重要なメディアではあるが、営業収入のすべてが広告収入である点が、新聞との大きな違い。販売収入を生み出す源泉力となる編集が絶対の権力を持ち、その紙面で取り上げる内容について広告主は何も文句を言えない。ジャーナリズムとしての側面を強く持つため、単に購読者数という定量的な判断だけでなく、各紙の編集方針に対して広告主からの定性的な選定視点が加わることも加味して出稿紙を検討しなくてはならい。



広告部門以外に製作、事業部門などが存在する

広告主や広告代理店に対して営業を行う営業部門やその集まった広告を整理する整理部門、そして管理部門で組成される広告部門のほかに、上記にあるように記事をつくる編集部門、印刷を行う製作部門、販売を司る販売部門、そして事業部門などがある。


中央紙、地方紙、フリーペーパーなど多様な種別

朝日新聞や読売新聞など、全国で発行される新聞を中央紙と呼ぶが、各県に新聞社は存在し、県によっては中央紙よりも県紙の方が、購読者数が多かったりもする。同時に発行形態もさまざまで、朝刊と夕刊がセットになっていたり、朝刊のみしか発行されないエリアなどもある。全国紙の場合はエリアによってどの本社で発行されたものなのか、またそれが何時に印刷されたものなのかで記事内容が異なる。


必日性と信頼性、さらに保存性がポイント

新聞は定期購読媒体であるという性質上、確実にターゲットに広告を届けたい場合には有効に働くと言われている。同時に、毎日発行されるため、たとえば会社の設立やサービスの開始日、商品の発売日など「その日でなくてはならないもの」、つまりは必日性が高い広告内容に適すると言われている。また、新聞社独自の広告審査、これを一般的に考査と呼ぶが、審査が厳しいがために、新聞広告への信頼性も担保できると言える。最後に、テレビやラジオのように記録が難しい他媒体とは違い、記録性・保存性に富む点も媒体選定時のポイントにもなる。


全広と呼ばれる一面広告のほか、サイズや種別も多数

新聞の1ページを15段広告または全広と呼び、一般的には新聞広告いえば全広のことを指す。しかしながら、効率面や戦略によって1ページ下半分の7段広告や下部だけの5段広告などだけを実施する広告主も多数いる。また、これらに対してカラーなのかモノクロなのかで料金だけではなく、1日でカラーがかかる面が限られているがために、熾烈な広告主同士の面取り合戦も繰り広げられる。


定価はあるが、条件によって上下する複雑な料金体系

新聞広告の料金体系は各紙HPなどで公開されているが、実際はサイズ、日、面の指定、カラーかモノクロか、さらに業種業態によって、料金はまちまちである。特に業界料金が設定されているのも特徴で各紙に問い合わせてみない限り、料金はわからないのが実態である。


まずは何を優先するかを決めること

最近は通販企業の出稿が多くあるが、中には自社の株主総会にあわせて新聞を打ちたいなどの出稿理由がある。その都度、必日性なのか、掲載面なのか、料金なのかの重視すべきポイントを明確にしたうえで出稿決定をしなくてはならない。


新聞の強さは「箔」にある

GoogleやSalesforceなど、新聞広告を目にすることは多いのではないだろうか。なぜ、「効率至上主義」の彼らが新聞広告を出稿するのか。答えは至ってシンプルで「箔がつく」からである。上記のように「信頼性」という言葉よりも、著者としては「箔」の方が実はしっくりくる。リーチ効率で考えると決して効率的ではないが、「しっかりしている」「きちんとしている」という暗黙の理解が生まれるメディアなのである。情報感度が「本当に高い」ビジネスマンは新聞をまだ購読している。創業日の企業広告やセミナーの実施など、そういった読者に向けて、「箔」を活用しながら出稿するのである。


「箔」を活用するメリットは実利よりも株価?

著者が新聞広告を実施してきた際、通販企業なども担当したことがあるが、最も効果的だと思ったのは、「株主対策、株価上昇」を目的とした新聞広告であった気がする。実際の例としては、株主総会の日に自社の新たな部分を訴求する新聞広告を出し、「今日も新聞広告を出してますが」と株主にその場でアピールする方法である。読者に向けてというよりは、「その場にいる株主への提案書」のように活用していた。確かに、実利よりは株価を上げる方が前者としての利益にはなるだろうと感じたものだ。新聞にはこういった活用方法があるのである。


トラディショナルな印象の強い新聞ではあるが、「広告トータルプランニング会社」である当社からも、その特長に照らすとまだまだ有用性はあると言える。しっかり目的を定めた出稿を行うことで、十分な効果は期待できる。

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